鎌倉から
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「うむ・・」と赤木は又かぁという気分が沸き鼻に皺を寄せて返事らしからぬ応答をした。
「青葉って良いわねぇ・・・、好きでしょう」と言って赤木の答えを期待してはいない感じで何事も無かったように前を歩き出した。
「あぁ・・」と上滑りの言葉にならない感嘆詞の応答しかできず、 考えすぎた一人芝居の自分に照れくささの火照りが首筋に走った。
赤木は場を埋めるため、言葉を繕い
「自然は偉大だよぉ、風景画は芸術として旨いとか表現しても、自然の美には勝てないよぉ、自然は常に活動しているから・・」と昔、西洋人の詩を読んだ時の言葉を思い出しながら言った。
「そうねぇ、生きてるから」と和歌子は擦れ違う人達を軽く交わし同調する様に言った。
幅二メートル程の狭い参道は八幡宮に御参りする親子連れ、だらだらと歩くカップル等大小の小荷物類がベルトコンベアーに流されているように見えた。
ただ、ハイキングコースに向かうグループはいそいそと軽登山靴を周りの人が気が付くような地面に引きずる音を立てて、人々の隙間を見つけては縫うように通り過ぎてゆく。
多少肩が触れ合っても謝らないのはここは都会の一部なのかぁと思った。
和歌子の薄緑のツーピースが一歩一歩遠去かると、揺れる青葉の囁きの中に溶け込んでゆく様である。赤木は今日北鎌倉から歩いた緑濃き細い小道や散策した寺の境内等何度訪れても飽きの来ないこの町、古都という名の鎌倉に一人酔ってはいた。
「どうしてもこの町に住むのぉ」と視界から外れた位置にいると思った和歌子が、語尾が下がる不満気な問い掛けをしてきた。
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