鎌倉から
- 我が小説集と故郷(世界遺産熊野新宮)自慢
- http://music.geocities.jp/singukamikura
- 戦ぐ風に小枝が手招きする様に揺れて、青葉がカサカサと囁く様に音を立てている。
恐らく、早朝老人達の奉仕活動により清められたであろう赤土色の賛同、その両側は躑躅の花壇、等間隔に植木された盛りを終えた桜の木々が競い合うように若き緑の枝葉を伸ばし広げている。
高さ二メートル程の左右の木々が合掌してトンネル遂道を作っている。
直線に八幡宮に続くこの道は参詣する人々には清めの儀式の参道である。
道端の両側の捌け口の所々には吹雪終えた花弁が押し葉の様に僅かに面影を残している。
ほんの数週間前までは冬の寒さから解放された春先の人々の心を浮つく付かさせたが、今は一段落させるために眼の保養となる緑の優しい若葉で落ち着きを演出し漂わせている。
時折、薫風に揺れる幾重の青葉の隙間から縫うように木漏れ日がカメラのフラッシュの様に地面に落ち、瞬間的に人々を眩ます。
その陽射しは参道の両側の程よく手入れが行き届いている躑躅の花園に当たり紅白の蕾に接吻している。
蕾は仄かな恥じらいいを浮かべて、恋染めし乙女の様に見える。
これからは桜に代わり、自らの季節を謳歌しょうとしている。
両手を腰の中央で組んで、イエスター・デイを心地良さそうにハミングして、四・五歩前方を歩いていた和歌子が急に踵を返して百八十度回転した後ろ歩く赤木の真ん前で立ち止まった。
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